「なぜ定期検診するの?」
定期的に、長く診療を続けることで分かることが増えていきます。
- ある患者さんのケース
1. 初来院
歯肉がはれて出血するため来院。歯肉炎が見られたので、歯石を取る治療とブラッシングの練習を行いました。
2. 治療後
治療後、定期検診には一度も来院されませんでした。
3. 4年半後に来院
歯周病が進行していました。歯周病の治療と、もう一度ブラッシングの練習を行いました。
この時に定期健診の重要性をしっかりご理解いただきました。4. 3年後
定期的に来院されるようになり、今も良好な健康状態です。
5. 15年後
健康な状態を維持するためにも、定期検診は重要な役割を持っています。
「どのように進行するの?」
歯周病の初期段階の"歯肉炎"は子どもを含むほとんどの年代の人に見られます。
歯肉炎をそのまま放っておくと、"歯周病"に進行してしまいます。
- 歯肉炎・歯周炎の進行
1. 歯肉炎~軽度の歯周炎
歯と歯ぐきの間にプラーク(歯垢)がたまって歯茎が腫れ、出血しやすくなっています。
この段階では歯を支える骨には、まだあまり影響がありません。2. 中等度歯周炎
歯周ポケットが形成され歯石が深部まで付着し歯を支える骨を半分くらい失っています。
3. 重度歯周炎
歯を支える骨がなくなってきて歯がぐらつき、このまま放っておくと歯が抜けてしまいます。
歯ぐきが下がる、膿がでるなどの症状もみられます。
- 歯周病の進行図
- 歯石もこうなるとブラッシングでは取れません
プラーク(歯垢)や歯石(右写真)はどうしてとらなければいけないの?と疑問に思われる方に、プラークや歯石の為害性や歯周病予防の大切さを知ってほしいです。
プラークは細菌性の沈着物で、歯石はそれが石灰化したもので、それらはむし歯や歯周病を引き起こす因子になります。プラークのなかの細菌は歯に付着した食べかすを利用して酸をつくり、歯の表面のエナメル質を溶かします。そのほか、細菌性のプラークが歯と歯ぐきの間に入りこんで停滞すると歯肉に炎症が起こります。その状態が続くと、細菌のだす毒素で歯根膜(歯と骨をつないでいる線維)が破壊され、さらに奥へと進行します。その結果、歯を支えている骨が溶け、最後には歯を失います。それだけではなく、プラーク中の細菌は、炎症部の血管内に入り込み、血液を通って全身に流れていき、動脈硬化や心疾患のひき金となります。これでプラークや歯石の害の重大さがわかりましたね。日頃から予防することが大切なのです。むし歯も歯周病も、細菌性のプラークが原因で起こります。プラークは患者さん自身の歯みがきで取り除き、歯石はわれわれ専門家である歯科医師・歯科衛生士が取り除きます。お互い力をあわせてがんばりましょう!
- 治療のステップ
Step 1
歯ぐきの溝の深さをチェック。Step 2
検査表を作成。歯周ポケットの深さや出血、排膿などの状態を確認する。Step 3
歯石とり。スケーラーを用いて歯石を除去します。
Step 4
前歯の歯石を除去。Step 5
臼歯の歯石を除去。Step 6
下の前歯の歯ぐきは赤く腫れています。Step 7
引き締まったピンク色の歯ぐきになりました。
フッ素には歯の再石灰化、細菌の活動の抑制、エナメル質の強化などの効果があります。フッ素を塗ることにより、虫歯を予防することができ、はえたての歯はフッ素を吸収しやすいので、1歳くらいから、歯がはえる度に歯科医院で塗布してもらうとよいでしょう。
※ 4ヵ月に1回くらい塗るのが効果的です。